「ネットで誹謗中傷してきた人物を特定したい」
「SNSで誹謗中傷されたので相手を訴えたい」
「サイトで匿名で攻撃されたが、相手が誰かわからない」
「再度同じような嫌がらせが起こらないようにしたい」
ネット上で誹謗中傷を受ける場合、相手が匿名なので誰かわからないケースがほとんどです。
そんなときには投稿者を特定する手続を行いましょう。相手がどこの誰かわかれば損害賠償請求も可能となります。
今回は誹謗中傷されたときに相手を特定する方法やその後の流れについて解説します。
ネット上の風評被害や営業妨害などにお困りの方はぜひ参考にしてみてください。
1.誹謗中傷による損害やリスクについて
ネット上で誹謗中傷されると企業にも個人にも多大な損害が発生するリスクがあります。具体的には以下のような問題が起こります。
1-1.利益が低下する
企業の場合、自社の悪評を流されると売上が低下する可能性があります。
たとえばお店への客足が落ちるなどして利益が減ってしまうリスクが懸念されるでしょう。
1-2.生産性が低下する
企業への悪口を書かれると、従業員のモチベーションが低下したり離職者が発生したりして、生産性が落ちてしまう可能性もあります。
1-3.新規採用が困難となる
転職サイトや就活サイトなどで誹謗中傷の投稿が行われると、応募者が減って新規採用に支障を来す可能性があります。
1-4.信用を失う
ネット上で根拠のない悪評を流されたら、その情報を見た人からは信用を失ってしまうでしょう。
1-5.個人情報を暴露されて悪用される
嫌がらせで本名や住所、電話番号やメールアドレスなどの個人情報を暴露されるケースも少なくありません。ネット上で広く個人情報が公開されると自宅に押しかけてこられたり、犯罪や借金などに悪用されたりする可能性もあります。
2.誹謗中傷者を訴えるには「特定」が必要
ネット上で誹謗中傷された場合や個人情報を暴露された場合、名誉毀損やプライバシー権侵害で訴えることができます。
しかし、ネットの投稿はほとんどのケースにおいて「匿名」で行われるので、損害賠償請求するには投稿者を「特定」しなければなりません。ネット上で権利侵害を受けた被害者には「発信者情報開示請求」を行う権利が認められています。手続きに沿って請求に理由があると認めてもらえれば、投稿者の氏名や住所、電話番号などの情報を突き止められます。
発信者情報開示請求の流れ
発信者情報開示請求の大まかな流れは以下の通りです。
STEP1 サイト運営者へ情報開示を請求する
まずはサイト運営者へ投稿者についての情報開示を求めます。回答があればすぐに相手の個人情報を入手できます。ただし現実にはサイト管理者から任意に情報を得られるケースは多くはありません。
STEP2 仮処分を行う
サイト管理者が情報開示に応じない場合には、裁判所で仮処分を得る必要があります。裁判所の仮処分命令が出ると、投稿のIPアドレス(=投稿に使われた通信会社に関する情報)がサイト運営者から開示されます。
STEP3 プロバイダへ情報開示を請求する
投稿のIPアドレスがわかったら、そこから相手の利用しているプロバイダが判明します。
そこでプロバイダに対し、投稿者の氏名・住所等の情報開示を求めます。
STEP4 訴訟を起こす
プロバイダが任意の開示に応じない場合には、発信者情報開示請求訴訟を提起する必要があります。裁判所が開示を命じる判決を出すと、相手の氏名や住所、電話番号やメールアドレスなどの個人情報がプロバイダから開示されます。
3.相手方特定はスピードが重要!
ネット誹謗中傷を受けたときの加害者特定は、急いで手続きしなければなりません。
なぜならネット上の投稿のログ(=通信記録)は、保存期間があり、投稿日から3か月や6か月程度で消されてしまう可能性があるからです。
ログが消えてしまうと、その投稿は投稿者を特定することが不可能となります。
投稿者特定の手続は、ログが消えてしまう前に始めることが必要です。ネットで悪質な誹謗中傷が起こったら、まずはすぐに、投稿者を特定する手続を行うかどうかを検討しましょう。
4.発信者情報開示請求を自分で行うリスク
発信者情報開示請求は個人でもできる手続ではあります。しかし、請求を認めてもらうための作業・手続は非常に難しく煩雑です。自分1人では慣れない書類作成などに手間取ってしまい、どうしても長期間かかってしまうでしょう。時間がかかっているうちに、ログの保存期間が過ぎてしまうリスクもあります。その上、最終的に必要となる仮処分や訴訟などの裁判手続では、弁護士を通さなければ権利を実現することが困難です。
対応が遅れるとログが消されて対応できなくなってしまう可能性があるので、その前に手早く手続きを進めましょう。
5.相手を特定できた後の流れ
誹謗中傷を行った相手を特定できたら、トラブルを根本から解決しましょう。悪質な相手方に対しては、損害賠償請求を進めるのが一般的です。
判明した住所宛に内容証明郵便で請求書を送りましょう。その後相手と話し合い、賠償金の支払など解決に向けて取決めをします。その際、「もう二度と同じような嫌がらせはしない」などの誓約をさせると、再発を防止しやすくなります。
相手が任意に支払わない場合には、損害賠償請求訴訟を提起することになります。訴訟で判決が出たら、相手の財産や給料を差し押さえられます。
刑事告訴も検討する
相手の行為が悪質な場合、刑事罰を求めて告訴をすることも検討すべきです。誹謗中傷は犯罪として名誉毀損罪や侮辱罪が成立する可能性があります。
6.弁護士に依頼するメリット
ネット上で誹謗中傷の被害に遭ったら、早急に弁護士へ相談しましょう。
自分で対応するとどうしても時間がかかってしまいますが、弁護士に依頼すると的確かつスピーディに対応できます。ログが消えてしまうリスクにも対処できますし、炎上リスクも防ぎやすくなるメリットがあります。手続に向けた被害者本人の労力・手間や時間を省けることも大きなメリットとなるでしょう。
損害賠償請求も優位に進められる
相手の特定後に損害賠償請求を行う際にも弁護士に依頼するとスムーズに進みやすくなります。自分で交渉するよりも弁護士が交渉した方が、権利を実現しやすくなりますし、弁護士に依頼していれば「二度と嫌がらせをしない約束」をさせたり合意書を作成したりするのも容易になるでしょう。
山口の弁護士法人牛見総合法律事務所ではネット誹謗中傷対策に力を入れて取り組んでいます。名誉毀損や人格攻撃的な投稿、業務妨害の嫌がらせなどにお困りの場合にはお早めにご相談ください。